虐待、ネグレクトを止めるには

虐待、ネグレクトを止めるには
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子供の頃、

両親は毎日のように争っていた。

 

父は、機嫌が悪くなるたびに私を罵った。

 

母は、それを

見て見ぬふりしていた。

 

 

そして私は、

愛情も信頼も…幸せも、“言葉”としてしか

わからない…。

 

 

虐待の連鎖とは

 

親のネガティブな成育歴が、どうしても育児に反映してしまうのは仕方がないことです。

苦しんだからこそ逆に…という反面教師も、ある種の反映であることに変わりありませんし、やはり同じような現象が繰り返されてしまうという、いわゆる“虐待の連鎖(負の連鎖)”が問題視されます。

米国での研究では、33%の割合で起こると言われており、この数値を多いと取るか少ないと取るかは人それぞれだと思います。

3割程度しか、なのか、3割以上も!なのか。

 

中には、「絶対に自分だけはそうはならない」と、固く誓っていたにも関わらず、同じ過ちを犯してしまったという方も少なくありません。

そもそも、和やかな団らんや労わり合う心の交流などの中で育たなければ、それがどのようなものかを理解できませんし、まして、どうすれば良好な関係が築けるのかもわかりません。

頭では分かっていても、実際の行動となると学習したことが無意識的に表出します。ですから、あれほど嫌悪していた幼少時に見たことが、なぜか自分の目の前に再現されてしまうのです。

想像や理想ではなく、人は実際に見たり経験したことしか学べないものだからです。

 

4つの児童虐待

 



 

児童虐待には、4つの種類があります。
1、身体的虐待  暴力、怪我を負わす、閉じ込める、拘束など。

2、心理的虐待  言動による脅し、差別、無視、家族間のDVを見せるなど。

3、性的虐待  子供への性的行為、性行為を見せる、性的な被写体にするなど。

4、ネグレクト  育児放棄、十分な衣食住や医療を与えない、部屋や車内に放置するなど。
 

児童虐待防止法の施行後、報告件数は3倍以上に急増し、令和2年には20万件に達しました。

中でも全体の6割を心理的虐待が占めていますが、これは、夫婦間のDVに子供が直面した事例が多いためとされています。

実際に、配偶者からの暴力事案等の相談件数は、DV防止法が施行された20年前の実に23倍となっています。

そして、これらはあくまでも顕在化された氷山の一角として見るべきです。

 

被害者と加害者は誰なのか

 

更に中身を見ていくと、被害を受けているのは小学生以下の児童に集中しており、虐待死は3歳未満の乳幼児が9割を占めます。

加害者側を見ると、9割が実母実父によるものです。

虐待に関わる犯罪で検挙された者のうち、実父や養父・継父などの「父親等」は72%となり、その80%が暴行、傷害です。一方、「母親等」は29%で、犯罪で検挙された数では父親等が2.5倍になります。

特徴として、継父による「強制性交」が性的虐待全体の30%、「強制わいせつ」は60%となっており、背景にあるステップファミリー増加との関連があります。

女性の虐待加害者の95%が実母であり、乳幼児の虐待死率などから見えるのは、シングルマザーの経済事情や生活苦、病気や障害などの育児能力不足などが垣間見えてきます。

 

親の内面を映し出す「育児」

 



 

あなたが親ならば、我が子に恵まれたとき、何を感じたでしょうか?

その瞬間から、夫婦やパートナー、カップルだった二人は「家族」になります。

子供が小さい頃は素直で従順で可愛いらしいかもしれませんが、それでも夜泣きや体調の急変などにオロオロすることはあるでしょう。

そして、少しづつ成長して行くにつれ、ワガママや身勝手なことを言ったり、未熟な失敗を繰り返すのもつきものです。

言ったことを守らず、心配をさせ、他人に迷惑を掛け、身のすくむような思いをさせられます。

 

さて、その時にどのような感情が起こりましたか?

 

成長の過程として温かい目で見守れたのか。

それとも、嫌悪感や苛立ちが沸き起こったのか。

 

別の感情もあるでしょうし、出来事の感じ方や意味付けは人それぞれですが、自分でもよくわからない「違和感」や「怒り」を強く感じたとしたら注意が必要です。

子供は親の鏡とも言われますが、関係が密接であればあるほど影響を受け合います。

許された経験が無いと、許すことが分からない。

認められた経験が無いと、認めることが分からない。

尊重された経験が無いと、尊重することが分からない。

何事も、自分が持っていないものは与えることなど出来ないのです。

 

そして、相互作用(刺激→意味付け→行動)のループは、時間をかけて更に強固になっていきます。

一言でいえば、悪循環、繰り返し、堂々巡り…。

 

ご自身が複雑な家庭環境に育ち、満たされていない思いや未消化の感情があったとすれば、育児に反映してきます。

育児だけでなく、「家族」という関係を維持することが困難だったり、パートナー選択の思慮が浅かったり、そもそも他人との親密な関係を求めないという点も挙げられます。

実際に、虐待を受けた子供のうち、7割は未婚かシングルマザー(ファザー)になります。

 

虐待児にも関わらず…の理由を探せ

 



 

親に問題があったら、人生はおしまい。

複雑な家庭の子は、幸せになれない。

 

否。 どのような物事にも大抵は例外があります。

 

短期改善の視点は、虐待の被害者でありながらも悪しき連鎖の枠組みから脱した7割の人たちに注目する事であり、その中でも平穏で安定した暮らしをしている特例とも呼べる方が、具体的に何をして、どのようにそうなれたのか?という探求にあります。

いかに辛い過去を持ち、過酷な経験をしていながらも、「充実した生活」「幸せな人生」を手に入れたという例外的な人たちがいるのも事実なのです。

 

偶然か?

努力か?

生まれ持った能力なのか?

 

何らかの方法があるのならば、工夫して誰かに適応出来るのではないか。

そう考えるのがソリューションフォーカス理論であり、解決までも極めて迅速です。

 

2つのきっかけ

 



 

これらを統計的にみると、2つのきっかけが明らかに浮かび上がってきます。

 

一つが、善意ある他者との友好的な関係があった、ということ。

そしてもう一つが、専門家によるケア、セラピーによるものです。

 

一つ目は、ある種の偶発的側面があります。

人生を変えてくれる程の「良き理解者や伴侶」との出会い…。

それは誰で、いつどのようにして出会えるのか?

もしかすると、この探求は一生を掛ける可能性さえありますし、楽観視するには長期間かかっても成果なしのリスクが大きいです。

確かに理想的ではありますが、それ程簡単ではないことは伺い知れますし、逆に、もしもすでに相応しい方がいらっしゃるなら、その出会いに感謝しつつ幸運を噛み締めるべきでしょう。

 

そして後者は、今すぐにでも実行することが可能です。

暴力や暴言などによる心のケアの方法は、数種類の効果的な方法が見つかっています。

そして、それらは専門家によって磨き上げられ、多くの実績を挙げています。

 

“負のバトン”を渡さないために

 



 

虐待には、福祉による支援、司法による罰則がありますが、根本的には未然の対処が肝心であるのは言うまでもありません。

連鎖を止めるために最も大切なことは、加害者予備軍の心理的ケアです。

 

誰にも言えない過去。

辛く悲しい経験。

もがき苦しんだ今までの日々。

無自覚で抑えらない衝動や混乱(病気や障害)。

 

それらを一人で抱えるのは相当な忍耐力が必要になります。

そして、単に時間が解決してくれるものでもありません。

 

話すことは、放す:解放することに繋がると言われ、その為には遠慮なく安心して話せて受容的に聴いてくれる相手が必要になります。

誰かとのポジティブな関係を持つことは、驚くほどの精神的な安定が期待できるのです。

 

ただし、ただ聴いてもらうだけでは長期化するなどの場合が多く、専門的な訓練を受けた、解決の糸口を提案できるカウンセラーや心理士を選ぶことが大切です。

当てずっぽうでも直観でもなく、状況を理解し、改善までの道筋が見えていなければ本物の介入ではありません。

効果的な何かを導き出せるのは、心理学の知見と経験になります。

 

どんな過去があっても、諦める事はありません。

苦しみを抱えて孤独に戦ってきたからこそ、未来を変える使命が生まれるのかもしれません。

 

 

向き合う決心ができたのなら、心理相談へ。

 

 

児童相談所全国共通ダイヤル(電話:189)

※近くの児童相談所につながります。

 

 

 

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