代替療法とは ~スピリチュアルに寄り添えるか

代替療法とは ~スピリチュアルに寄り添えるか
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私は、うつ病で身体症状もある。

でも、病院や薬も嫌いだし、カウンセリングなんて意味が無い。

この状況は、きっと身体から送られたサインなのだ。

 

私が求めているのは、それに応えるもっと高レベルなものだ。

 

なぜ心理療法を受けない患者が多いのか

 

ブリーフセラピーのミルウォーキー派として知られるスコット・D・ミラー博士によれば、「精神疾患・障害」と診断された患者のうち、75~85%は心理療法を受けていませんでした。

また、85%は、そもそも「カウンセリング・心理療法」を求めていないという事も分かりました。

 



Scott D・Miller, Ph.D.

 

心理援助職の先進国とされる欧米でさえ、まだまだ受け入れられていないか、あるいはマイナスイメージなどがあるのでしょう。

患者の多くは、治療行為そのものよりも「癒しのプロセス」を共にすることに関心があり、他の手段を選んでいたのです。

では、精神疾患になった人々は、何に望みを託していたのでしょうか。

 

代替療法が現代医療を超える ~ヴェブレン効果

 



 

米国のある調査では、何らかの疾患を抱えた人が治療やケアを受ける時、現代医療よりもむしろ代替療法や民間療法を選んでいたという結果が出ました。

その傾向は、「高学歴」「高収入」「若年」であるほど顕著であることも分かりました。

もはや、彼らにとって近代西洋医学は古くて頼りないものなのかも知れません。

一定価格の医療費よりも、高額で特殊な代替療法は沢山あります。経済的にゆとりがあれば、手当たり次第に試すことも出来るでしょう。

あるいは「これは高価だから効きそう」とか、何事も「モノは試し」という発想かも知れません。

それに掛けられた費用と期待は大きく、プラシーボ効果も加わって増々改善へと向かう事はあり得そうです。

 

経済学者のH・ライベンシュタインは、高額なものほど価値があり、効果があると思う現象を「ヴェブレン効果」と呼びました。
価格が高い物は、それを所持したり使用することで顕示的欲求も満たされます。そして、多くの人が評価した物に需要が集まる現象を「バンドワゴン効果(皆が評価する物は良い物だ)」と言い、反対に他者の消費が増えるほど需要が減る現象を、「スノッブ効果(皆が使っている物を使いたくない)」と言います。

 

代替療法とは

 



 

WHOは、「健康」を次のように定義しています。
「健康とは、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であり、病気や虚弱ではないということではない」
 

そして、1998年の執行理事会において、新たにこの定義に「スピリチュアル(霊的)とダイナミック(動的)」を加える事が検討され話題になりました。
この提案をしたのは東地中海地域事務局で、彼らの文化的宗教的な背景にあるユナニ医学(イスラム医学)の伝統に則って提案したものです。

審議の結果、最終的には改正には至りませんでしたが、この一件を契機として「スピリチュアリティ」は、宗教学にとどまらず学際的な概念としてアカデミズムの世界でも注目されるようになりました。

 

では、代替療法や民間療法の代表的なものを見てみたいと思います。

 
 

1,天然物
ハーブ、レメディ、ビタミン・ミネラル、発酵食品、プロバイオティクス、漢方など

2,心身療法
ヨガ、カイロプラクティック、整骨療法、瞑想、マッサージ療法、鍼灸、リラクゼーション、リフレクソロジー、太極拳、気功、ヒーリング療法、催眠療法、レイキ、運動療法など

3,そのほかの補完療法
心霊術(チャネリング、霊視、守護霊)、アーユルヴェーダ医学、中国医学、ユナニ医学、ホメオパシー、マクロビオティック、自然療法、ホリスティック医学など

 
 

世界三大伝統医学とは、中国医学、アーユルヴェーダ(インド伝統医学)、ユナニ医学の三つを指します。

このような連綿と続く人類の叡智に、畏敬の念を感じる人たちがいるのも当然のことだと思います。

 

厚生労働省eJIM

 

オカルトと科学



 

怪しい、うさんくさいと思われる一方、藁をも掴みたくなる状況において、これらに強い期待が向けられることは想像に難くありません。

科学的根拠が無い事は、「オカルトや超常現象だ」という人たちが居て、逆に科学は、「驕った人智レベル」と懐疑心を抱く人も居ます。価値観は人それぞれありますから、科学VSスピリチュアルの論争があっても当然ですが、ポイントは、信じた人の不利益になっていないかどうかだと思います。

再現性や複製可能性(同じ条件で同じ方法を使うと、正確に同じ結果になる等の検証データ)がなければ、一種の「賭け」になってしまい、望む結果につながらなければ当然期待外れとなります。

それがカルトや新興宗教による金銭の要求だったり、意図せずとも誤った施術で悪化させたりしたら、相談者(顧客というか信者というか)への被害は甚大となってしまいます。

人の弱味に付け込む人ばかりではないでしょうが、それを信じる事で心が満たされるといった「信じる者は救われる」を悪用したものではないかを、しっかり熟考する必要はあるでしょう。

 

それでも、一部の救われた人々によって、「効果がある」「良くなった」という声は広がっていきます。

この流れは、「〇〇は一瞬で病気を治した」「〇〇は未来を予言した」「〇〇は死から蘇った」などで喧伝された宗教の立教背景と似ている点もあります。

しかし、何を信じるのも信教や表現の自由として保障されているのです。

 

スピ系の市場

 



 

スピリチュアル、サイキック系市場は300億~350億円であり、占いスピ系の全体になると1兆円規模になります。

いつの時代も、人間は人智では計り知れない非科学や宗教的なものに惹かれるのかも知れません。

 

宗教絡みの事件やニュースなどがネガティブに伝えられる反面、多くの人は神社に初詣に行って、お寺のお葬式で手を合わせ、クリスマスを祝います。

神道、仏教、キリスト教などは、こうして私たちの日常に密接に根付き、多宗教的な生活を送っているということに何の違和感もないでしょう。

文部科学省の調査では、全国の神社の総数は81,158。寺院は77,256で、合計すると150,000以上、教会は31,332あり、その他の布教施設などを含むと合計216,927に上ります。

 

さらに、占いとなると裾野は更に広がって、雑誌や情報番組などで目にしないことが無いくらい市民権を得ています。

バリエーションも豊富で、占星術、タロット、易、四柱推命、風水、数秘術、手相、トランプ占い、血液型占い、姓名判断、おみくじなど、また、暦上の大安や仏滅などの六曜も、当然のようにカレンダーに記載され、冠婚葬祭などに影響を与えます。

どれだけ科学が発展しようとも宗教が絶える事はなく、迷信、言い伝え、縁起、アミニズム、シャーマニズムなどの伝統は、延々と受け継がれています。

 

伝統的な「悩み事相談所」

 



 

その昔、国の様々な運営に関する占いをする陰陽師という職種がありました。現在でいう官僚の一種で、中でも安倍晴明や蘆屋道満などの有名人が神格化され、今でも映画やドラマとして描かれています。

時の権力者たちも、必ずと言っていいほど「陰の相談役」を傍に置いていますが、裏から影響を与えるフィクサーのような役割もあったようです。

 

日本には古くから、祈祷師や拝み屋といった専門職が地域ごとに居て、悩める人々の相談を受けていました。

特に有名なのが恐山のイタコや沖縄のユタなどのシャーマンで、彼女たちは霊的な力で死者の魂を憑依させるとされますが、実際の口寄せではクライアントの心情を読み取る力を使った心理カウンセラー的な役割も大きいとされます。

現在でも、観光地や商業地、都市部の路地やショッピングモールなどには必ずと言って良いほど「占い師」がおり、高いニーズを物語っています。

 

一方で、心理学を基盤とするサイコセラピストは、スピ系に対しては専門的な指摘を押し付けているに過ぎず、相談者の多くが抱いていた非科学的世界観に寄り添っていないことが考えられます。

この価値観のズレを合わせなければ、今後も多くのクライアントを受け入れられないことになるでしょう。

頭でっかちな心理の専門家に相談するよりも、慈悲深い占い師や霊能者の方が支持されていたとしても仕方がないことです。

 

霊能者にも悩みはある

 



 

個人的には、かの天才的な臨床家M・H・エリクソンのユーティライゼーション(使えるものは何でも利用する)にちなんで、日頃から常識や世論、その反対のマイノリティや批判の対象意見にも「一理ある」と考えるようにしています。

考え方は人それぞれであり、例えば心理学部の教授が民間のカウンセラーを「野良カウンセラー」と揶揄していたり、経験豊富な占い師はそんな学者を「勉強だけの無能者」と茶化していましたが、価値観の相違があるので当然でしょう。

私自身も、度々議論を吹っかけられて嫌な思いをしましたが、マウントを取ろうとする人はどこにでもいますし、素直に「負けました」「流石です!」などと言えば、ひとまず議論は終了します。

 

そして、こちらの出方次第では貴重なインタビューをすることが出来るのです。

 

経営者や起業家の集まりには様々な業種の方が集まりますが、その中に時々スピ業界の方も混ざっています。
以前、親しかった社長さんから、いかにも自信満々の30代半ばの女性を紹介されました。

「彼女はね、本物なんだよ。何を聞いてもびっくりするほど良く当たるし、先の事も見越して良い助言をくれるんだよ。超有名企業の霊的なコンサルもしていて、今引っ張りだこなんだ。なかなかお目に掛かれないんだよ。」

そう言われれば確かに貫禄もあり、数々の修羅場をくぐってきたような度胸の据わった目をしています。

「こちらは、カウンセラーの近藤さんね。催眠術でテレビにも出てる人だよ。」

「へ~。そうなんですね(人懐っこい笑顔で)。」

「えーと。ご紹介のアクの強さに反しまして…、割と気弱なんでよろしくお願いします。」

「えっ。全然見えないですよ。」

挨拶を交わすと、妙に話しやすく親し気で、すぐに敬語を使わない間柄になりました。

いわゆる神秘的なそれっぽさを出すのが嫌いらしく、雰囲気も少し派手目の会社員のようでありとてもサバサバした感じがあります。

そしてなんとも興味深く面白い話がたくさん聞けたのです。

事実として、「霊能コンサル」というエッジの利いたビジネス一本で都内の超一等地に家を持ち、フリーランスで大手と契約し、数々の経営者から寵愛を受けるという手腕は、ただ事ではありません。まさに、現代の「陰の相談役」です。

 

こちらが霊能力を否定していないことが伝わったのか、しばらくすると私の個人的な事を見事に言い当てられました。
それは、いわゆる「あなたは今、心配事がありますね」などの誰にでも当てはまることを言うコールドリーディングでは無く、的確な個人情報を「知っていた」のです。

「部屋にある〇〇は、××で手に入れたものでしょう?それを裏鬼門に植えてある〇〇の木があるよね。2メートルくらい?その根元に埋めるの。」

「凄い…。本当に分かるんだね…。」

その前に、当時の身内の病状や過去のエピソードについても言い当てられて感動すらありましたので、言う通りにあるものを埋めました。家の「何とかエネルギー」がスムーズに流れるそうです。

プラシーボ効果もあって、以前より運が開けた気がします。

 

彼女は人の心を読むスキルがあるのかも知れませんが、何もかも当たっていたわけではありませんし、明日の国際情勢や自然災害の日時までは読めないでしょう。
また、株やギャンブルなどの自己利益のために力を遣う気にはなれないようでした。

例えるなら、神秘的な能力は、人より背が高いから高い場所に手が届くようなもので、用の無い人には全く無用なものです。

ある人にとっては「神」であり、またある人にとっては「詐欺師」でしょう。

 

そして、そんな彼女にもやっぱり悩みがありました。

昔の話を聞くと、かなり過酷な環境下で育ち、若年サバイバーとしてもがいてきたようです。

予想通り、自分のことは見えない(読めない)ようで、実生活もそこまで順風満帆ではないようです。

そんな彼女に与えられたのが「霊能力」だとしたら、それで生きていくのも賢明に思います。

結局人間は同じで、多少の凸凹があるだけなのかも知れません。

 

現代人が、さながら「科学教」や「民主主義教」の信奉者だという人がいます。

人は誰でも、自分が信じられるものにすがって生きるものです。

それがいかに不可思議で、理解に苦しむものであっても、その人の大事な宝物であることに変わりはありません。

ですから、相手によっては心理療法の効果を促進するために、ある程度スピリチュアルな手法を用いるのも大切だと思います。

ユングが易を学んでいたことは有名ですし、臨床心理士の資格整備に貢献された河合隼雄先生も同様です。

 

ちなみに、彼女とは今でも時々連絡を取り合っていますが、相変わらず波乱万丈の毎日で、能力者の光と陰を見た思いです。

後で聞いた話では、彼女の霊視は企業相手だと1時間で数十万円。年契約で数百万だとか。

ただ、個人相手だと無料もあるとの事。

もしあの時、料金を請求されたらいくらだったのでしょうか…。

私の懐事情を「知っていた」ならば、感謝です。

 

 

スピ系の事例はこちら

 

※個人が特定できないよう、情報に配慮しています。

 

 

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