自給の心理 生存の欲求を満たすもの

自給の心理 生存の欲求を満たすもの
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はじめに、新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さま、及びご家族や関係者の皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。
また、医療従事者をはじめとする最前線でご尽力されている皆さま、また、日々の生活に無くてはならない業務に勤しまれている皆様に心から深謝申し上げます。

当研究室では、感染拡大抑止とクライアントの皆さまの安全確保を最優先として、講演や研修の中止などの対策を講じてまいりましたが、緊急事態宣言発令を受け、すべての業務をテレワーク(電話、オンライン)とすることといたしました。
 

コロナと自給力

 

収束まで長期化が危ぶまれる新型コロナウイルス感染症ですが、必要最低限の暮らしは継続していきます。

中でも「食」に関しては、生命活動そのものなので、今後も私たちの生活から切り離すことはできません。

生物の性である食べなければ生きていけないということは、仕事に関しても、「〇〇で食べています」などという表現で示されます。

グルメや美食など、栄華を誇った外食産業が自粛せざるを得なくなり、最も根源的な「食べ物」そのものに焦点が移っていくのは時間の問題だと思います。

その日の食事を、自分の力で得る=自給力。

そこで、注目される第一次産業の食部門ですが、漁業や畜産、バイオ系は一般人にとっては壁が高いので、必然的に植物を育成する農業が比較的取組み易いでしょう。

野菜などの植物を育てるには日光と土地(場所)が必要になってきますが、田園地帯や山間部ならば豊富でも、都市部はアスファルトやコンクリートに覆われており、まともな耕作地すら希少です。

 



 

土地とは、すなわち「土」の事を指します。

皆さんは、作物が育つ土とはどんなものかご存知でしょうか。

例えば、そこら辺の公園や空き地に種をまいて、簡単に野菜が育つだろうと安易に考えてしまうかも知れません。

あるいは、ホームセンターや園芸店などで売っている「野菜用の土」などを購入しなければならないと思われる方もいらっしゃるでしょう。

実は、スーパーなどに並んでいるような立派な作物は、有機物や微生物が多く含まれた良い土壌で手間暇をかけなれば育たないのです。

しかし、小さな庭やベランダ、バルコニーでも、やり方によっては結構な収穫がありますが、その分良い土を大量に必要としますし、家族数名分の自給レベルとなると相当難しいかと思われます。

実際、日本の食料自給率は37%程で、多くを海外からの輸入に頼っています。

それすらも、今後安全かつ安定的であるのかは不確定であり、すでに「買い占め」や「買いだめ」に走る傾向も見られますが、それらがいつまで維持できるのかもままなりません。

以前は豊富に陳列されていたマスクは、今ではほとんどの店舗で品薄が続いていますし、スーパーなどでも目的のものが品切れであることは少なくありません。

それぞれの判断かと思いますが、売っているうちはまだましです。

いくらお金を払っても、必要なものが手に入らない…。

そんな日が、来る訳は無いと言い切れるでしょうか。

 

菜園とビタミン

 

そこで最も安全で安心なのは、少しでも自給体制を整えることだと思います。

自分の命や家族を養うならば、もはや農園を持つか借りるしか手段はありません。

先日、7~8坪の耕作地の土づくりを行いましたが、体力的にはかなりきつかったものの、日光に当たってビタミンDが合成され、とても清々しい気分になりました。

ビタミンDは、カルシウムの吸収や筋肉の合成を促し、免疫機能を維持してくれるという私たちの健康にとって欠かせない栄養素です。

家に閉じこもりがちなこのような時だからこそ、農作業は多方面においてとても合理的だと言えます。

心配事があって不安な日でも、少なくともその日食べるものがあるという幸福感があります。

 

もしかすると近い将来、一昔前の日本のように家族総出で畑仕事をするような風景が当たり前になるかもしれません。

 



 

ちなみに、ここ船橋市の貸農園は、利便性が高いと常にキャンセル待ちになるそうです。

フランスでは、安定した作物の供給が急務であると、「農業部隊」の募集したところ、20万人の失業者が殺到しました。

飽食に浮かれ切った現代人にとって、自分の食を自分で得るということはどこか現実的ではないでしょう。

コロナ以前の価値観やライフスタイルを、いかにコロナ中、コロナ以降に適応させられるか。

当たり前だったことが、当たり前ではなくなった世界に我々は直面しています。

また、元通りの生活に戻ったとしても、これまでの価値観の転換が求められているように思います。

 

生存の欲求は、生物にとって最も基本となる欲求です。

“衣食足りて礼節を知る”の言葉通り、その基本に根差した生き方に適応出来るかどうか。

案外、何が起こっても不思議ではないのかも知れません。

 

時代に問われているのか。

それとも自然の淘汰か。

 

…しかし、いつになったら納得のいく作物が出来るんだろう?

土に向き合う日々です。

 



 

 

記事を書いた人 Wrote this article

Kondo

短期間で改善を起こす、ブリーフ・サイコセラピー派の心理師。 あらゆる問題の解決事例を持ち、超合理的に結果に導く。 臨床から産業、教育分野まで、幅広い実践経験を持つ。 専門家からの相談を受けるマスター・カウンセラーである。

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