「生い立ち」が問題の要因である 力動的精神療法(精神分析) 

力動的精神療法(精神分析)とは

 

精神医学、心理学に大きな影響を及ぼしたのがオーストリアの精神科医、ジークムント・フロイトです。



 

心の構造を科学的に解明しようと言う彼の最大の発見は、心的構造論だと思います。

それはまず、意識と無意識、その間にある前意識というものを理解する必要がありますが、簡単に説明すると「人間の心は三層構造になっている」ということになります。

 



1つめが「自我」で、意識的に考えたり自分を防衛しようとする働き。
2つめが「イド」で、無意識や感情、本能、記憶を司ります。
そして3つめの「超自我」は、ルールや道徳観に則って考えようとする領域です。

 

人は、自分の思い通りには生きられません。

やりがいの無い仕事に懸命になることも、傲慢な上司に従うことも、面倒な勉強を好きになることも、痩せるために少ない食事で満足することも、そんなに簡単な事ではありません。

 

一説には、意識と無意識のバランスは3対97で、圧倒的に無意識が勝ると言います。

その表れとして、私たちは頭(意識)ではわかっていることでも、気持ち(無意識)には抗えないのです。

 

無意識は、10歳までに見聞きした情報によって形成されるともいわれます。

つまり、性格や価値観を形作るのが成育歴(生い立ち)ということです。

そして、力動的精神療法の臨床では、リクライニングソファなどに座りって思いつくままに語るという自由連想法が用いられます。

これは、通常であれば週に4日以上、少なくとも1日置きに受けなければなりません。

 

成育歴と人格

 

生い立ちの中で、「心(価値観、考え方)」が育まれているというのは、個人的には賛成できます。

実際に、これまで担当してきた事例の中に不可解だったり説明できないケースというのはほとんど無く、その背景にそれ相応の事情や原因と考えられる理由が必ずと言っていいほど存在しています。

例えば、和気あいあいとして笑顔に満ちた自律的な家庭に、自傷行為や素行不良児はほとんどいませんし、逆に、親に見放されていたり家庭不和があった子が、他人に対して問題行動を起こすというケースは多く見られます。

 





 

産まれたばかりの幼子の心はまっさらですが、周囲の大人や環境によって日々刷り込みが行われます。

やがて、そのように見聞きして経験したものを「真実」とか「価値観」として蓄積していきます。

そんな中で、家庭崩壊や対立、依存、虐待などがある家庭を機能不全家族と呼び、このような環境で育った子供をアダルト・チルドレンとか、アダルト・サバイバーなどと呼びます。
親側については、毒親、毒家などと呼び、こうして悪影響を受けて育った人物の精神的な異常性や問題を称して「母原病」「父原病」などと呼ぶのです。

このような宿命論は、とかく二次被害を及ぼし、養育者に問題があるとして親が批判を受けたり、子供からも「お前たちの育て方が悪かったせいだ!」となじられたりします。

若年の犯罪者が世を騒がすと、その親が世間からの猛烈なバッシングを受けたりして、ついには追い込まれて自死に至るという悲惨なケースもあります。

 

親の育児責任

 

あの家はろくな環境を子供に与えていない。

あの親は、子供を自立させていない。

親としての自覚が足りない。

 

「子供の姿は、お前の躾のせいなんだぞ!」

「それでも人間か!この人でなし!」

 



 

しかし、それが当然の報いと言えるでしょうか?

あるいは、そのことが正しい社会責任の果たし方だとすれば、親への育児責任はかなり重いものということになりますし、それは当然だという意見もあるでしょう。

 

子供の問題は、全て親の責任である。

子供は、悪い大人たちの被害者である。

このような風潮は、あまり建設的だとは言えません。

昨今の悲惨な虐待が発覚した際、その親への社会的からの制裁はかなり激しいものがありますが、その反面、同じ育児中の親からは「(子供に手を上げてしまう精神状態が)分かる気がする」という意見も多く聞かれます。

 

一方で、機能不全家族と呼ばれる現象にも必ず例外があり、一過性だったり、変化が起こるとすれば安定した状態になっていくことはあります。

そもそも、正しい育児の方法について熟知した者だけに子供が授かるのではありません。
むしろ、多くは何となく手探りで子育てを始めるのが常でしょう。

全ての親は、見様見真似の一年生から始めるのです。

 

親との関係を、周囲に転写する

 

そこで、フロイトは、転移、逆転移、抵抗という理論を説明しています。

転移とは、親や保護者など、周囲にいた人物との関係を、無意識に相手に映し出すということです。

虐待された子供が親になり、また自分の子供を虐待する。

夫婦仲が悪い家に育った子が大人になり、恋愛をする度に喧嘩別れをする。

父親からのパワハラを受け続ける母親を見て育ち、男性不信から独身生活を続ける。
これらが、ネガティブな影響を受けた陰性転移です。特徴として、身近な人に対して敵意を感じてしまいます。

リーダーシップのある上司に憧れ、いつしか恋心を抱く。

思いやりのある先生を、実の母親のように慕う。

失敗して挫折を繰り返す息子を、いつかきっと乗り越えると信じられる。
これらが、ポジティブな影響を受けた陽性転移です。特徴としては、相手に情愛に満ちた感覚を抱きます。

 

親にされたこと、そして満たされなかった欲求が、そのまま身近な誰かに転移してしまうのです。

「認められたかった」
「許されたかった」
「大切にされたかった」
「信じてほしたかった」
「抱きしめてほしかった」

これらが満たされないまま、身体だけが大人に成長しますが、心は全く枯渇した状態なので、何事も抵抗が生じてしまうのです。

「違う!」
「そうじゃない!」
「何も分かってない!」
「もういいよ!」
「やめてくれ!」

 

自分が持っていないものは、相手に渡すことはできません。

思いやりも、愛情も、感謝も…。

歳を取るほど親に似てくるという言葉もある通り、幼少時に与えられた刷り込みは、ほとんど生涯に渡って作用します。

このような生い立ちと性格に関する本は多数あるので、目にすることも多いと思います。

 

ユングと河合教授と臨床心理学

 

フロイトの弟子に、かの有名なスイスの精神科医カール・グスタフ・ユングがいて、後に理論的な違いから袂を分けて分析心理学を発表します。



 

その後、京都大学名誉教授の河合隼雄先生が、日本人として初めてユング研究所で精神分析家の資格を取得していたことから、日本ではユング派の精神分析が大きな影響力を持つようになりました。

河合先生は、分析心理学の立場から協会を設立して臨床心理士の資格整備を整え、後に政治の世界にも進出し、文化庁長官として辣腕を発揮されました。

 

成育歴を一切重視せずに”変える”

 

しかし、短期療法の分野では、成育歴だとか生い立ちについて詳しく聴くということはありません。

そういった意味付けに時間を割くと長期化してしまうからです。

 

生い立ちが悪かったから…。

親に愛されなかったから…。

誰も味方になってくれなかったから…。

〇〇が××だったから…。

あの経験が△△で□□だったから……。

 

これらの意味付けは主観的な仮説に過ぎず、より深刻で過酷な環境下で育っていても、その人物が立派で前向きな人生を送っているという多くの例外も存在しています。

その例外の中身である、「何をどうすれば、そのような毎日を送れるようになるのか?」というデータを集積し、それを具体的な対策として提供できる方が有用である。というのが短期療法の視点なのです。

 

成育歴で個人の全てが決まるというのは極論です。

親次第で、その子の人生が決まるというのも幻想です。

真摯に反省して謝罪すればリセットということでもありません。

 

また、これまでにも多くの「過去のネガティブな出来事」を扱う理論はあります。

インナーチャイルドを癒すとか。

年齢退行催眠とか。

許しのワークとか。

信念を書き換える?とか。

……ちょっと大変そうですが。

 

もっと簡単で効果的な方法は、短期家族療法ならいくらでもあります。

 

 

 
>短期改善こそ、真のホスピタリティ

短期改善こそ、真のホスピタリティ

悩んだ時間は決して無駄にはなりません。
是非、一歩を踏み出してみてください。
最善を尽くしてご支援します。

空き時間枠に、今すぐご予約いただけます。

CTR IMG