新型コロナウイルス対策 心理編

新型コロナウイルス対策 心理編
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新型コロナウイルス感染症に際し、心理的な側面から留意していただきたいこと。

 



 

両親はリモートワークで自宅に籠って仕事をし、子供たちは休校で部屋でゲーム。

誰もが外出を控え、戦々恐々と不安で過ごす…。

今後、このような状況が長く続けばどうなってしまうのでしょうか?

もうすでに、何らかの心身の変調に気付かれている方も少なくないはずです。

しっかりと先を見て、予防対策を怠らないでください。

それは、除菌予防の衛生面だけではなく、より深刻だと思われる日々の生活における心理精神面へのリスクマネジメントが重要だと思います。

 

「うつ傾向」「精神不安」「気力の低下」「疑心暗鬼」「集団ヒステリー」

これが戦争なら、凄まじい兵器によって私たちの日常は脅かされている状況下にあります。

更に言うならば、一種の「集団催眠状態」です。

連日のメディアによる「コロナ」連呼による社会不安という猛威は、実際のウイルス以上の悪影響を及ぼすかもしれません。

さて、そこで免疫力を上げる方法等を見聞きするかと思いますが、「栄養素」とか、「〇〇菌」など様々な情報が飛び交っています。

しかし、調べれば調べるほど根拠が見つからず、専門家筋によれば「疑わしい」と一蹴されています。

そして、そんな彼らも具体的な対策法に関しては明言していません。

つまり、科学というのは「証明」されるまでに、おびただしい時間と労力をかけた検証が必要なのです。

それを待っていたら、一体いつになるかわかりません。

ノーシーボ効果

 

仕事柄、これまでに単なる偶然では片付けられない様々な現象を見てきました。

 
「私は、きっと運が悪いんです…」

その後、事故に遭って骨折。



 

「自分の体から異臭が出ています」

清潔に保っているのに本当に凄まじい臭いが…。



 

「仕事に行こうとすると目の前が真っ暗になるんです」

実際に視力が低下して歩行困難に。医師にも原因不明。

 

これらはまるで、「引き寄せ」であるかのようです。

 

さらには、1883年のオランダで、こんな実験記録があります。

犯罪者のブアメードという人物をベッドの上に拘束し、その周りで医師達があれこれと話し合いをするのを聞かせます。

その結論は、「体内の血液の三分の一を失えば人間は死んでしまうだろう」というもの。

そして、「実験をはじめます」といって、彼の足の親指にメスを入れたと思わせる痛みを与え、すかさず容器に水滴をたらす音を聞かせます。
本人にはそれが見えないようにして、その音が自分の体から少しづつ血液が流れ出ている音だと思わせるのです。

数時間後、医師達が「そろそろ三分の一になりますね…」という会話をしていると、それを聞いたブアメードは、何と本当に静かに息を引き取ってしまったのです。

 

実験前に与えられた、「三分の一の血液を失ったら人間は死ぬ」というネガティブな暗示と、今の自分がその状況下にあるという思い込みによって、死が訪れました。

これによって、強く思い込んで暗示に掛かれば「人間は、自らの生命機能さえも停止させてしまう」ということが証明されたのです。

 

笑いとプラシーボ効果

 

この逆の効果が、何度か耳にしたことがあるかと思われる「プラシーボ効果」です。

ノーマン・カズンズ(アメリカの元ジャーナリストでカリフォルニア大学医学部教授)は、膠原病の一種である硬直性脊椎炎にかかってしまいました。

 



 

これは、発熱と激痛、脊椎の硬直で体が動かしにくくなる病気で、治る確率が500分の1しかないというものでした。
この病気は、現在でも原因は不明で、予防法も治療方法も確立されていない難病です。
しかし彼は、非常にポジティブな人物で、落胆するのではなく積極的に2つのことを実践しました。

①ビタミンCの大量摂取。

当時ジャーナリストだったカズンズは、医学誌を読んでビタミンCが人間の免疫効果と自己治癒力を高めるために必須であることを知っていました。
そこで、10グラムから25グラムの大量のビタミンCを摂取するようにしたのです。

②たくさん笑うこと。

これは、「ストレス」という言葉を生み出した、カナダのハンス・セリエ博士の、「不快な気持ちやマイナスの感情を抱くことは、心身ともに悪影響を及ぼす」という言葉がきっかけでした。
これにヒントを得て、真逆の「喜びや快、プラスの感情」が心身に善い影響を及ぼすのではないかと考えたのです。

彼はまず、環境から変えることにして、イメージの暗い「病院」から、リラックス出来る「ホテル」へと治療場所を移しました。
そこで、沢山のコメディのビデオを見たり、ユーモア作家のジョーク集などを読んで思いっきり笑ったのです。
すると、それまで激痛で充分に眠ることができなかった状態から、30分間大笑いした後は2時間熟睡できるようになったのです。

それを続けた結果、再び歩けるようになり、わずか数か月後に症状が改善し再び仕事に復帰しました。

彼は、ポジティブな感情が健康をもたらすということを確信し、その後、心筋梗塞になった際にも同様の方法で克服してしまいました。

その後、この記録が医学誌に発表されると、当時の医学界に大センセーションが巻き起こりました。

カズンズ本人は、これをプラシーボ効果の可能性もあるとして調査していますが、その後の研究で、笑うと脳内からβエンドルフィンという鎮痛作用、気分の高揚・幸福感などが得られる別名「脳内麻薬」が出ることが解明されました。

これらのことから、「ポジティブ、プラス思考、喜びや笑顔」は、侮れないワクチンとなり得ると言えます。

「笑いやユーモアが治療に役立つ」という発見は、その後米国の医師パッチ・アダムスによる、ホスピタルクラウン、クリニクラウン(臨床道化師)として世界的に広がり、映画化もされました。

 

思いやりで免疫力が上がる

 

さらに、カズンズの人間的側面に注視すべき点があります。

戦後間もない広島を訪れた彼は、親を失った原爆孤児たちの存在に強いショックを受け、そのことをメディアで発表しました。

孤児たちのために何が出来るかを考えた末、戦争の被害者である孤児たちを、アメリカ人の養子として迎えるという意味で、経済的にだけでなく、精神的にも支援していこうという活動を開始します。

その名は、「精神養子運動」。

そして、400名以上の孤児たちに支援を続けました。

また、原爆でケロイドを負った若い日本人女性25名をアメリカに呼び、テレビ番組に出演させると、何と原爆を投下したB-29のパイロットだった人物と番組内で対面させました。

その模様は大反響となり、5万ドルもの寄付金が「原爆乙女」と呼ばれた彼女たちの元へ集まったのです。

これらの活動によって、広島市特別名誉市民の称号を受けると、その後も生涯にわたって核兵器の廃絶を世界に訴え続けました。

広島平和記念公園には、マルセル・ジュノー博士(GHQと交渉して15トンの医薬品を提供させ、多くの被災者の治療に尽力したスイスの医師)の顕彰記念碑と共に、広島県医師会が中心となって、カズンズ氏の功績を称えるための記念碑が建立されました。

 

そこには、こう刻まれています。

「世界平和は努力しなければ達成できるものではない
目標を明確に定め責任ある行動をとることこそ人類に課せられた責務である
ノーマン・カズンズ」

カズンズに救われた原爆乙女の一人だった女性は、その後アメリカで看護師となり、恩人の記念碑の除幕式のために帰国しましたが、この一文を読み上げる際、感極まって涙で声を詰まらせたといいます。

 

幸福ホルモン、オキシトシン

 

カズンズの行った見返りを求めない他者への親切や思いやり、役に立つ活動は、幸福ホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌されることが知られています。

オキシトシンは、満たされた気持ち、意欲や心身機能の向上、感染症予防にもつながる強力な自己治癒力の源泉となります。

笑顔で過ごし、人に親切にする。

何事も気持ちの持ち方、考え方や行動の仕方だと科学も証明しています。

 

情けは人の為ならず

 

カズンズ先生に日本人の一人として、心からの敬意と感謝を捧げたいと思います。

 



 

 

 

 

記事を書いた人 Wrote this article

Kondo

短期間で改善を起こす、ブリーフ・サイコセラピー派の心理師。 あらゆる問題の解決事例を持ち、超合理的に結果に導く。 臨床から産業、教育分野まで、幅広い実践経験を持つ。 専門家からの相談を受けるマスター・カウンセラーである。

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