自分は何者なのか ~アイデンティティの確立

私は、何をするために生まれてきたのか。

自分の存在意義とは何だろう。

 

私は、一体何者なのか?

 

 

ひとまず…、明日は仕事を休みたい…。(現状には不満)

 

 

笑われても…、自分探し

 



 

自己探求などを、「中二病だ」「幼稚だ」などと揶揄される風潮はあると思います。

また、ある程度の年齢になってこのようなテーマに思い悩んでいると、馬鹿にされたり嘲笑の的にもなりがちです。

そんなことを考える暇も余裕もなかった人にとっては、付き合っていられない鬱陶しいテーマですし、目の前にやるべきことがあるからでしょう。

ただし、世論が正しいというのも錯覚です。

 

自分自身の在り様や存在意義を深く考えるという事は、そんなに恥ずかしいことなのでしょうか?

日常に流されず、自分という存在を見極めようとすることが、本当に時間の無駄なのでしょうか?

 

個人的には、自己に対する誠実さであり、自らの人生を真剣に生きようとする熱意あってのものだと思います。

 

しかし、長い時間悩み続けても答えが見つからないとなると…、何らかの工夫が必要かも知れません。

出来れば、一日も早く確信を持って、ご自身の信じた道を堂々と歩いて頂きたいと思います。

 

エリクソンの“アイデンティティ(自己同一性)”とは

 



 

日常でも良く使われる、“アイデンティティ(identity)”という概念を提唱したのは、アメリカの心理学者であるエリク・H・エリクソンです。

エリクソン繋がりでは、催眠やブリーフ・セラピーで知られるミルトン・H・エリクソンがいますが、心理学界における影響力はこの人物の方が絶大です。

アイデンティティの正確な定義は非常に複雑であるにも関わらず、多方面でその言葉だけが独り歩きを始めてしまい本人はとても困惑していたといいます。

 

この概念を発見した一つの要因として、エリクソン自身の成育歴があると考えられます。

彼は、実の父を知らない私生児(非嫡出子)としてドイツに生まれたユダヤ系デンマーク人です。

その外見から、ユダヤ人のコミュニティからは差別され、ドイツ人のコミュニティからはユダヤ系であるという理由から迫害を受けました。

自分の出自を知らず、二重の差別を受け、シングルマザーの家庭に育ち、またその後母の再婚相手の養父との関係に挟まれた若きエリクソンは、画家を夢見て放浪生活を送ることになります。

幼いころから、「自分とは何者なのか」嫌がおうにも直面していたことでしょう。

 

そんな最中、フロイトの娘であるアンナ・フロイトと知り合うこととなり、弟子入りして彼女から教育分析を受けることになります。

当時のドイツはナチスの台頭があったのでアメリカへ渡米し、そこでエリクソンの研究が一気に注目されるようになるのです。

青年期に、自分は何者で、何を為すべきか?と、葛藤し続けた結果、確信的に回答できたのが「自分は、ユダヤとデンマークのハーフで、アメリカ人だ。私が為すべきは発達心理学だ!」このように自己同一性を獲得したのではないでしょうか。

 

努力の方法に誤りはないか

 



 

迫害されてきた混血の私生児が、苦難の果てに歴史に名を残す偉大な心理学者となった、というサクセス・ストーリーですが、これも非常にポピュラーなものです。

人は、苦労や努力を経て、何かを成し遂げる。

 

チャレンジ精神の美しさを称える傍観者はいますが、報われないチャレンジに終わって欲しくないと思います。

 

その努力の方向性に誤りはないか?

目標にたどり着く可能性は高いか?

苦労を経験した人こそ、それらをじっくりと検討すべきでしょう。

 

 

エリクソンの転機は、何といってもA・フロイトとの出会いと、その分野に関心を持てたという事だと思います。

それまで芸術家を目指していた青年だけに、未知の領域への転身は思いがけないものだったはずですが、心理学は、きっと初めて「生涯の仕事」として見れるものだったに違いありません。

自分の複雑な生い立ち=この経験を、心理の分析や研究に活かせばきっと役立てられる。

このような気付きも、きっと精神分析があったからだと思われます。

自己流での自分探しではなく、専門家から分析を受けられたのは効率的な自己発見に繋がったと言えます。

こうして、ドイツの移民だったエリクソンは、異国の地で師匠のA・フロイトを凌駕する功績を残す学者になりました。

 

人生の8つの段階で、やるべきこととは何か

 



 

彼の功績の中でも最も有力視されているのが、発達心理学分野の心理社会的発達段階論です。

これを分かりやすく説明すると、人生には年齢や時期ごとにそれぞれ課題があり、それを経験することで発達して成長していく、というのをモデル化したものです。

それぞれの課題には、達成したときに得られる徳と、逆にダメだった時のマイナス感情についても示されています。

 

発達の8段階とは

さて、ではどんな時期に、何をしておけば良いのでしょうか。

エリクソンは、一生を8段階に分け、年代順に詳細に説明しています。

 
 

1、乳児期(0~2歳) 



 

生まれたばかりの乳児期に課題となるものは、他者や環境に対する基本的信頼です。つまり、自分という存在を肯定する養育者と、受け入れてくれる環境の有無が課題となります。

逆に、「この世は、信じられる場所だ」という感覚が得られないと、不安から他者に対しても不信感や恐怖を抱いてしまいます。

この課題を達成して得られる徳は、希望(Hope)です。

 

2、乳児前期(2~4歳)



 

言葉を覚え、様々な事が自分で出来るようになるこの時期の課題は、自律性です。食事や排泄など、生きていく上での能力に自信を持てるという事がテーマです。「自分であっても良い」という実感が得られないと、自分を恥じ、自己能力に疑惑を持ってしまいます。

この課題を通じて得られる徳は、意思(Will)です。

 

3、幼児後期(4~6歳)



 

幼稚園や保育園などで社会性を育むこの時期のテーマは、自主性(積極性)です。物事を、自主的に行えるかどうかが問われます。そして、この行為が親の規範に反するいけないことだと感じたとき、罪の意識を抱いてしまいます。

この課題を通じて得られる徳は、目的(Purpose)です。

 

4、児童期(6~12歳)



 

日本では小学生の期間ですが、ここでの課題は勤勉性です。社会性や学習能力などが身に付いているかが問われ、これが得られていないと周囲と比較して劣等感を感じます。

課題を通じて得られる徳は、有能感(Competence)です。

 

5、青年期(12~20歳)



 

中高大の学生期、いわゆるモラトリアムの思春期の課題は、同一性(アイデンティティ)です。自分の独自性や役割、職業などの選択が問われ、これが得られないと同一性拡散、つまり自分を見失って混乱してしまいます。

この課題で得られる徳は、忠誠心(Fidelity)です。

 

6、初期成人期(20~40歳)



 

ここから、期間が一気に20年に広がります。社会人として最も活気付く期間の課題は、親密性です。他者との関わりで心理的な絆を築けるかが問われ、これが得られないと孤立を感じます。

この課題での徳は、愛(Love)です。

 

7、成人期(40~65歳)



 

期間は、更に広がります。この時期の課題となるのは、生殖性です。社会人としての経験を積み、子供や後継者を育むことが生殖性であり、これを得られないと自己停滞を感じます。

得られる徳は、世話(Care)です。

 

8、老年期(65歳以上)



 

人生の総括期ともいえるこの時期の課題は、統合性です。人生を総合的に見て納得し充実感を持てるかが問われます。これを得られなければ、不満と後悔から絶望を感じることになります。

得られる徳は、叡智(Wisdom)です。

 
 

こうしてみると、非常に納得できるものがあります。

しかし、とかく順風満帆ではないのが人生…。

理想的に歩むのは簡単ではないでしょう。

 

研究者あるあるの一つとして、発表はするけれど具体的な対処法には言及しない、というのがあります。

 

「アイデンティが大切だよ」

…わかるけど、どうすれば得られるわけ?

 

「親密性が肝心だよ」

それが難しいから悩んでるんだよ!

 

こういった論文系の使い方は、知識を行動レベルに落とし込むことです。

それで初めて“実学”と呼べます。

 

言葉では納得できなくても、実際の日常に変化を起こすことを優先する方が有益ですし、それが現場の醍醐味ともいえるでしょう。

 

辛く苦しい経験がそのまま自尊心の欠如となり、残念ながら他者疑惑や社会批判となって身を亡ぼしてしまうことと、エリクソンのようにそれを糧として輝かしい活躍を遂げることは、実は背中合わせだと思います。

また、著名でも満足できない日々を生きた人物は多く、心理学史に足跡を残すことと人生の充足度は別物です。

結局、どこかで軌道修正して、最後の「絶望」さえ避ければ案外納得できる人生なのかも知れません。

 

とはいえ、苦労や試練は心の筋トレに欠かせないことでもあります。

そして、自己流より経験豊富なトレーナーがいれば筋トレの結果は早く出ます。

 



 

 

 
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