アスリートのカウンセリング :メンタルの強化

 

第32回オリンピック競技大会が、57年ぶりとなる東京で開催されました。

コロナで一年延期となるという史上初の東京オリンピック・パラリンピックでしたが、選手の皆さんの弛まぬ努力の成果が実ることを、一観客として応援せずにはいられません。

いかに早く、高く、長く、的確になど、「目的」を成し遂げられるかが競われるのが競技です。

鍛錬すれば、「人間の可能性はここまで高められる」という事を証明するものであり、時に人間離れした能力に驚嘆させられます。

 



 

あらゆるスポーツに共通するもの、それは勝ち負けがあるという事です。

しかし、勝者だけでなく選手全てが称賛され、そこに至るまでの類稀なる才能と、日々の血の滲むような努力には多くの賛辞を贈るべきでしょう。

 

もう一つの共通点は、ルールがあるという事です。

取り決めがある中で全力を尽くすからこそ、フェアだと言えます。

この競技者を、敬意をもってアスリートと呼ぶようになり、また、対戦相手に紳士的な態度を心がけるとスポーツマンシップだと称賛されたりもします。

このように、社会的にもスポーツで心身を鍛えることは良いことだとされる風潮がありますが、勝ち負けとルール、そして配慮は、スポーツだけでなく社会の全てに存在しているからかも知れません。

 

スポーツマンシップは幻想か

 

私は仕事を通じて、世界を相手にするようなアスリートが、どのような悩みや問題を抱えているのかを理解しました。

ある種目で、世界のトップを競っていた選手は、対戦国の侮辱的なヤジに心を痛めていました。

そればかりか、緊張状態が頂点に達するスタート時にさえ、「ファールだ!ファール!」などという罵声が飛び、競技への集中を欠いてしまうことがありました。

それも、どうやら相手側の関係者だというのです。

また、あるスポンサーは、社名ロゴをユニフォームのもっと目立つ場所にと細かくクレームしてきます。
「(競技できているのが)誰のお陰かわかってる?」と言われたこともありました。

協会からのプレッシャーにも押しつぶされそうになり、若いライバルたちの躍進も驚異的です。

当然、コーチからは連日の激が入ります。

「そんなんじゃダメ!もっと練習してきた通りに!」
「何やってんの!その程度しか出来ないの!」

ヘトヘトで帰宅して、様々な人たちからあれこれと言われた分、急に孤独感に襲われます。

「もう、自分の選手生命は終わりなんじゃないか…」

「練習しても、もう記録を出せないんじゃないか…」

今日ふと聞いたネットの誹謗中傷も頭から離れません。

しかし、それを誰にぶつけることも出来ません。

 



 

もちろん、このようなことに目もくれず…というのが一流だと言えるのかも知れません。

そして、それをどうにかして乗り越えようとするのが人間です。

 

メンタルの強化とリラクゼーション

 

「メンタルの強化」というリクエストは、一般の方からも多く寄せられるものです。

そして、方法は一つではありません。

そもそも、強化したい具体的な部分が人それぞれですし、元をただせば要因も意味付けされている文脈も違います。

 

「私は、元々〇〇なのですが、××があってから、△△だと考えるようになり、□□なことが起こるようになってしまい、今では▽▽にまでなってしまいました」

 

この記号に当てはまるものが千差万別であり、意味付けも背景も、刻一刻と変化するのです。

この方からのリクエストは、「催眠療法で、ここ一番でリラックス出来るようにして欲しい」というものでした。

この方の競技には、集中=リラックスということが求められ、催眠はリラクゼーションに効果があるという記事を読んだというのです。

恐らく、根拠が乏しい情報ですが、この方にとっては藁にもすがりたかった故なのでしょう。

 



 

「わかりました。では、椅子に深く腰掛けてください。そして、ゆったりと瞼を閉じて…。そうすると……、呼吸に意識を向けることが出来るでしょうか……」

これは、実はかなり効率が悪い方法ですが、カウンセリングは一種のサービス業ですから、期待に応える必要があります。

 

改善のポイントはどこか

 

この選手に本当に必要なのは、もっと無意識的な別のポイントにあることを見立てられれば、やることは決まります。

長い「リラクゼーション催眠(?)」から戻られてから、感想を伺った後、「少しやって頂きたいことがあるのですが…」と続けました。

そこからが本当の支援になりますが、ご本人にそれを理解して頂く必要は無いのかも知れません。

 

「なぜ、そんなことをするんですか?」

「簡単なので、ほんの少し試して頂けませんか?」

「ええ…、わかりました……」

 

改善への介入は、無意識的にで良いのだと思います。

もしかすると、良くなっても催眠のお陰だったと思われることもあるでしょう。

個人的には、そう思いたいという自由は尊重すべきであり、「本当のところを教えてくれ」と言われても、「本当」を定義することも難しく、まして、仮説や妄想のレベルでしかない見立てなど、語れば空しいものです。

 

彼女が専門誌の表紙を飾っているのを見た時は、陰ながら共に喜べた気がしました。

 



 

※個人が特定できないよう、情報に配慮してあります。

 

 
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