
安易に、催眠療法を受けないでください
催眠療法の誤解
誤解と、メディアによる偏った扱いについて。
催眠って、眠っちゃうんだよね?
催眠で、前世が本当に見えるんでしょ?
催眠術は、怖いので結構です
催眠術で、過去を消してください!
催眠療法は、人の心を自由に操れる。 一般の方は、そう信じていたりします。
よくわからない世界でもあるでしょうし、著しい誤解があるようです。
確かに、催眠を専門的に勉強する意外で、その真実を知ることは少ないのかもしれません。
そこで、正しく、本当の催眠という技術の詳細を、皆さんにご説明する必要性を感じました。
多少、がっかりされることがあるかもしれませんが、これをお読みになれば、悪質な催眠療法に騙されずに済むと思います。
エビデンスは“非常に低い”
催眠療法の客観的事実は…(世界最大のWEB百科事典にはこう記載されています)
研究の品質は低く、有効性を判断することが難しい。
近年のいくつかのメタアナリシス(複数の研究分析)とシステマティックレビュー(多数の情報調査)によると、有効性は確認されていない、証拠がない、または証拠不十分である。
厚生労働省eJIM(イージム:「統合医療」情報発信サイト)にも、
エビデンスは「弱い」ものであり、科学的根拠の質は「非常に低い」と記されています。
つまり、科学的根拠は薄いので、医学界でもほとんど無視されています。
ただし、実績は乏しくともいくつもの学会が存在しており、“催眠現象”自体は肯定されていますし、確実に存在します。
エンターテイメントの催眠ショー
では、なぜ有効性が認められず、世間では怪しいとさえ思われるのか?
まず、皆さんが良く目にするであろうものが、催眠術師が行うショーの様子でしょう。
あなたも、もしかするとテレビでご覧になったことがおありかもしれませんが、人が急に椅子から立てなくなったり、自分の名前を忘れてしまったり、目の前の人を好きになってしまったり・・・。まるで、人が思い通りに操られているかのように見えます。
信じられるでしょうか?それとも、嘘に決まってると思われるでしょうか?
真実を申し上げます。
あれは、おそらく半分は本当ですが、半分は演出です。
おそらくというのは、実際にその場に関わっているわけではないのでわかりませんが、ああいったことが起こることは科学的にも事実なのです。
とある国立大学の心理学の教授も、ゼミで実験として行なっていると仰っていました。
驚かれたでしょうか?
本来、催眠という技術であのようなショーを行うことはエンターテイナーの仕事です。私自身も番組の企画で行ったことがありますが、実際に一流のショー催眠家は、もっとすごい現象を起こすこともできます。
一瞬で寝かしてしまう瞬間催眠とか、怪物などの幻覚を見せる幻覚催眠とか。実際に何十回も見たことがありますし、受けた人に感想を聞いたこともあります。
さて、更に驚かれましたか?まだ、信用できないかもしれませんが、一度でも見れば、体験すればわかります。 ただし、わたし自身は、一回も自分の意思以外で催眠術に掛かったことはありません。
催眠療法をしていて番組でも行い、しかも半分は真実だと言っている割には矛盾のように思われるかもしれません。
実は、それらの一見奇跡のような現象は、タイプによって起こる人と起こらない人がいるのです。
それを被暗示性といいます。
いうなれば、その人が持って生まれた特性に左右されるのです。
個人差があり、すぐに解ける
奇異な現象を引き起こす催眠術の場合、そのタイプによって大きく違ってきます。
誰もが、あのようになれるわけではなく、そして、大切なことは、被暗示性がどれだけ高くても、わずか数分もすれば自然に解けてしまうのです。
「あれ?いったい何やっていたんだろう・・・」と、必ず元通りに椅子から立ち上がり、やがて名前も思い出し、感情も元通りに戻ります。
そのように自分で解いてしまう前に、催眠術師が「はい、元通りになりますよ」と言って、さも自由に操っているかのように演出しているだけなのです。
まず、テレビで見られるような催眠は、ほとんどが短時間で解けてしまうタイプの催眠です。
逆に、何日も催眠を掛けられたまま、座り続けて立てなくなったという人を実際に見たことがあるでしょうか?
テレビやマスコミは、視聴率に関わる“面白さとインパクト”を追求するのです。 時に、真実よりもそれらが最優先されます。
「映像として面白いこと」それが命です。 全てが番組側の演出であるとは限りませんが、中には悪質なヤラセもあるかも知れませんし、ほとんどがエンターテイメントとしての、その場限りの見世物としての催眠の映像です。
「掛ける」よりも、「戻す」のが催眠療法
同じ催眠でも、催眠療法というのは、一瞬の面白さを追求するものではなく、心理的な援助として、あるいは医師などが医療行為として行う全く別のものなのです。すなわち、目的も訓練の方法もテクニックも、全てが違います。
私たち催眠を扱うセラピストが目指しているのは、「人を操ること」ではなく、その逆の、「人を元通りに解放すること」であり、「その人がどうなりたいのかを最大限サポートすること」です。
椅子から立てなくなったり、手が動かなくなったりして、果たして人生が豊かになったり喜んでくれる人がいるでしょうか? そんな風に身体を不自由にしたら、かえってその人を苦しめるだけでしょう。
「ほうら、もう立てなくなりますよ」「さあ、絶対に思い出せませんよ」・・・・・・、テレビ以外だったら、ちょっと悪趣味だとは思いませんか?
催眠で、人を思い通りに自由自在に操れるとか、洗脳出来るなどということは、ナンセンス極まりない事実無根な話です。まして、何らかの精神疾患の症状やお悩みが、あのように一瞬にして消えるなどということは、ほぼ不可能です。
しかし、医療の分野では催眠に関する学会が世界中に存在します。科学的に根拠があるので、学術として取り組み、健康の増進、病気の治療や社会生活に役立っているのです。そこでは、もちろん現象として目に見えるものを研究しているのではありません。
そして、前述の通り、残念ながら効果の程は不十分だとみなされ学会の会員数もごく少数です。
【主要心理学会の会員数】
一般社団法人日本心理臨床学会 |
会員数 30000名 (精神医療界最大の公益社団法人日本精神神経学会の会員数19000名を超える唯一の団体) |
公益社団法人日本心理学会 | 会員数 7900名 |
一般社団法人日本教育心理学会 | 会員数 5700名 |
【催眠関連学会の会員数】
日本催眠医学心理学会 | 会員数 540名 |
日本臨床催眠学会 | 会員数 250名 |
日本催眠学会 | 会員数 200名 |
不可思議な現象が起こる裏事情
しかし、ではなぜテレビでは、一時であるとしてもあのようなことが起こるのか?疑問に思われるでしょう。
それは、元々「面白い体験に興味津々」であるとか、「テレビカメラに映ることはメリット」であるというタレントという職業独特の心理に影響されているのです。 あのスタジオやVTRに出ているということは、無理やり連れてこられたのではなく、そもそも「番組に協力的な人たち」なのです。
積極的にそれを楽しみ、体験し、ボランティアとして参加することを良しとした人たちなはずです。さらに、偶然を装っていても、いわゆる「仕込み」という、一般人を装った演者が混じっていたりもします。
であればこそ、「だんだん踊りたくなりますよ」という暗示(?)にも、協力しようとする、「やってみてもいいかな」と思う人がいるのは当然でしょう。 あそこにいる時点で、催眠術に掛かってみたいとか、番組に協力しよういう意図があります。絶対に信じていない、興味がない人など、あの場には存在していないのです。
催眠の反論者がいたとしても、それ自体が演出だったりもするでしょう。
全てとは言いませんが、テレビやマスコミが、無演出のドキュメンタリーを見せることは稀です。それは素人の動画と変わりなく、公共の電波に乗せるような品質とはならないからです。
彼らは、上手く乗せられている、被暗示性が強くてノリの良い人達に過ぎません。つまり、自分の意思で、好んでそうなっているのです。
催眠術師が上手いのは、そういうノリの良い人を、集団の中からすぐに選び出せることです。
あるいは、事前に高反応だった人だけを舞台に上げれば良いだけです。
一瞬の幻…
自分でも思いもよらない力を発揮することを「火事場のばか力」と言いますが、ユング、フロイトの言う「潜在意識」という領域に働きかければ、いつもとは違う能力や、力を誘発することだって出来ます。
東北で震災に遭われたご老人が、飼っていた7~8キロの二匹の犬を抱えてマンションの屋上まで駆け上がっていたそうですが、ご自身はその時の記憶が全くなかったそうです。
確かに催眠術は、人の心を惹きつける奇跡かも知れませんが、それは儚くも一瞬の幻のようなものです。
私の場合は、それに乗せられることを心の底で拒んでいるわけです。 「あなたの遊びには、絶対に付き合いません!」と。 それが、自分の意思なのです。
しかし更に強引な手法で、頸動脈を圧迫して半ば強制的にかけてしまう方法すら存在します。
しかし、心理的に健康をサポートする手段となれば、そうであってはなりません。
催眠には「旧式」と「現代式」が存在する
米国の精神科医で、世界で初めて心因性の疾患治療に催眠が有効であることを証明したミルトン・エリクソン博士は、マスコミによる催眠への悪影響を非常に懸念していました。 テレビやラジオに出演することも嫌いました。 催眠療法士として、そういったニーズに踊らされることを拒否していたのです。
天才と称される医療催眠のスペシャリストのエリクソンでさえ、一瞬どころか、実際のセッションには数時間を要することもあったのです。 それも、確実で安全で安定的な変化を導き出すために。
では、実際の催眠療法はどのようなものかというと、非常に淡々として、派手さもなく、地味で面白さもなく、静かに、いつの間にか終了します。
「え?ボーッとしてるうちに、もう終わったの」とか、「これが催眠!?」とか、「ちょっと寝ちゃってたみたい…」とか、 それは、まるで普通の会話のようでもあり、目も開いていますし、眠ってもいません。
特に、現代催眠(エリクソン催眠)と呼ばれる技術は、そこが独特です。
テレビのイメージとはかけ離れているので驚かれる方も実際は多いのですが、本来、“暗示”とは、知らず知らずのうちに本人に気づかれないように行うものです。
無意識(潜在意識)とのコミュ二ケーションは、そのようにすることの方が有効だからです。
もう一度申し上げます。 意識されることなく、知らず知らずのうちに、催眠は終わっていなくてはならないのです。
「今から、元気になれるように催眠を掛けますね」だと、そもそも暗示では無くなり、明確な説得行為になってしまい、それではほとんど意味がないわけです。
暗示とは意識できないもの
ふと、カウンセラーが、何かについて話し出した時。何となく、驚いたように身をのけ反らせた時。何かのタイミングで、ニッコリと微笑んだ時。あえて、あなたの感情を揺さぶるような何かを言った時。 あなたの意識できない背後で、催眠が始まり、知らず知らずのうちに進行しています。
「何年か前、近所の猫が迷い込んでしまって、困り果てて仕方なく世話をしていたんですが、ある夜、妙な夢を見ました・・・。実は、その猫には不思議な特徴があったんです…」
この話には催眠的な「意図」があるのです。もちろん、相手に合わせて、猫の話でなく、ある山村の少年の話になったり、オランダの実験の話に変化したりします。
ありとあらゆる内容と表現で、相手に伝わっていきます。 余程、集中していても、「意図」に気付くのは難しいと思います。 その結果、いつの間にか、今まで苦手だったことが出来るようになったり、気にしていたことが気にならなくなったり、色んなことが楽しめるようになったりするのです。しかも、なるべく永続的であるように工夫します。
催眠に関する心理技能を学んでいれば、こんなことは不思議でも何でもありません。 だからこそ、こういった技術を習得しようとして、ビジネスマンや経営者まで集まられるのです。
必要な時間をかけて、その人が本当に望むものを知り、その人自身からその力を引き出すのが「催眠療法」です。
そして、催眠は陳腐化した
さて、そうなると、「じゃあ、現代催眠を受けてみたい。それなら、期待できそうだ!」と、思われるでしょう。 ところが、催眠療法の天才と謳われたエリクソンは、晩年になるほど次第に催眠を行わなくなっていくのです。
高名な催眠家の技術を聞きつけて予約を取る患者たちは、『いつになったら、催眠をやってくれるんだろう…?』と、期待外れに感じることもあったり、面食らうこともありました。 しかし、改善に至る時間は、逆に短期化していったのです。
心理療法の超進化形とも言える、これまでとは全く違った理論でありアプローチです。催眠が、よりシンプルで切れ味鋭く鍛え上げられた姿がそこにはあります。
その体系化されたものが、「短期療法(ブリーフセラピー)」と呼ばれる分野です。
その名の通り、今まで、催眠療法でも1年以上通院しても良くならなかった悩みや症状が、数回の面接でみるみる改善していきます。
より効果的で短期化が望めるので、もはや「暗示」に頼る必要もなくなったのです。
驚かれるかもしれませんが、この流派では一回の面接でほぼ改善ということも珍しくありません。
エリクソンの遺産は「短期療法」に引き継がれた
「じゃあ、催眠よりも良さそうかな…」と思われましたか?
これこそが、エリクソンをルーツとする催眠の現代的な進化形です。
これを使いこなす専門家はまだまだ少数ですが、最先端の技術であることに変わりはありません。
いつの時代も、古いものが進化し良いものが広がっていくのは自然の摂理であり、習わしです。
これが業界をリードしていくと期待される一方、習得までに時間を要する上に熟達した指導者が圧倒的に少ないという現実があります。
【短期療法関連学会の会員数】
一般社団法人 日本家族療法学会 | 会員数 1,000名 |
日本ブリーフサイコセラピー学会 | 会員数 740名 |
日本ブリーフセラピー協会 | 会員数 140名 |
ちなみに、最もエビデンスが高いとされる日本認知療法・認知行動療法学会は、会員数1900名に上ります(認知行動療法に限っては、医師の治療として保険適応)。
まさに、「職人芸」と言われ、敬遠される所以です。
しかし、施術者の労力は催眠の半分以下(個人的には)で済むというエコロジカルなものです。 それを、ご依頼頂いた皆様に還元するために、費用を催眠療法の半額の15,000円とさせて頂いています。
あなたに、決して気付かれないように…、知らず知らずのうちに…。
あなたの望むものが…、いつの間にか…、叶っていることに…。
静かに…、そして確かな変化が…、同時に起こり…。 いま、その一つが、あなた自身の中で起こっていることにも…、気付けるでしょう……。
堂々と胸を張り…、あらゆる物事に積極的に対処し…、いつも心が穏やかに安定し…、そして、自信に満ち溢れている……。
そうです…。その感覚です……。
そして、この文章を読み終わった後、ゆったりとした時間を過ごすたびに…、それを思い出すのです…。
その人が、本当になりたい自分になります
催眠術と催眠療法は、全くの別物です
催眠術は、非暗示性(催眠に入りやすいか、そうでもないか)に左右されます
催眠は、誰にでも適応できる万能薬ではありません
目を開けていても、催眠状態は起こります
眠りと催眠は違いますが、本人は違いを意識できません
前世(過去世)は、証明できないものですが、それを癒しに使用する流派があります
気づいたら、それは暗示ではありません
催眠は、繰り返すことで効果が確認できます
催眠に科学的根拠と実証は少なく、有効性は認められていません
そして、催眠で「変わった、救われた」と訴える多くの人々がいるのは事実…。
その理由は、怖い。苦手。〇〇が出来ない。〇〇してしまう。自分はその能力を持っていない…というのが思い込みだったと気付き、「元の状態に戻っただけ」です。
催眠とは、その人が持っていないと思っているものを、元々持っていたと気付かせることだ
ミルトン・エリクソン