人材育成と事業承継を成功させる方法

 

最近の若造は何を考えてるのか分からない

仕事に熱中しないし、何事も消極的すぎる

あれこれ言い訳ばかり並べて失敗を恐れすぎだ

 

社長さん……。

 

自分の意見を分かりやすくはっきりと伝える力があって = (ロジカル思考で、プレゼンテーション能力がある)

どんなことにも熱中して、何事にも積極的で = (モチベーションと自己効力感が高い)

失敗を恐れずに、即座に行動に移す = (ポジティブシンキングで行動力がある)

 

そんな人物がいたら、今頃どうしているでしょうか?

すでに自分で会社を作っているかも知れませんし、とっくにあなたのライバルになっている場合もあるでしょう。

逆に言えば、そんな能力があったからこそ、あなたは起業して社長になっているのです。

 

結果的に、経営者の期待に応えられるのは経営者だけ。

 



 

このように、人は自分のモノサシで人を見てしまうものです。

自分に出来ることは他人にも出来ると勘違いしたり、自分の価値観を知らず知らず押し付けてしまっていたり…。

そこで、様々なギャップが生じます。

 

指導の賢者

中小企業庁の発表によると、経営者のうち最も多い年齢は、2015年のピークで66歳となり、1995年の47歳だったのに比べ、この20年間で約20歳も上昇しています。

また、中小企業・小規模事業者の経営者の引退年齢は平均67〜70歳であることから、今後数年間で事業承継の時期を迎える中小企業・小規模事業者が多数発生すると予測されます。よって、事業承継は重要な経営課題となっています。

そんな最中でのコロナによる追い打ちだったので、残念ながら倒産が相次ぎました。

しかし、危機だと憂いているのではなく、次の一手というリーダーの手腕が試される局面だと思いますが、やはり、優れた右腕や後継者を育てることは極めて重要かつ悩ましい課題でしょう。

 

そんな時、思い起こされるのが、かの連合艦隊司令長官、山本五十六の言葉です。

 
 



実年者は、今どきの若い者などということを絶対に言うな。

なぜなら、われわれ実年者が若かった時に同じことを言われたはずだ。

今どきの若者は全くしょうがない、年長者に対して礼儀を知らぬ、道で会っても挨拶もしない、いったい日本はどうなるのだ、などと言われたものだ。

その若者が、こうして年を取ったまでだ。

だから、実年者は若者が何をしたか、などと言うな。

何ができるか、とその可能性を発見してやってくれ。

 
 

最後の一文の、「若者の可能性を発見せよ」に納得させられますが、では、具体的にその方法はどんなものでしょうか。

 

自分が普通に出来ることを他人が出来ない時、「なぜ出来ないのだろう」と考える原因論は時間の無駄になりがちです。

むしろ、自分が出来ることを、誰にでも出来るように伝えることが出来れば、優れた指導者になれるでしょう。

私も、心理の講座を開催する先生業もしているので、その難しさは良く理解しています。

何度伝えても理解されなかったり、どのように工夫してみても「良く分からない」とか「難しい」と言われることは数々ありました。

そしてその度に、自分の指導力の低さと努力不足を思い知らされました。

「どうすれば、きちんと理解してもらえるだろうか」

 

そして、こんな格言へと繋がるのです。

やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ

 

流石です。山本長官は、きちんと方法を示しておられました。

そして、これは現代にも通じる教えを含んでいます。

 

格言を現場に活かす

 

第一に、「やってみせよ」

これは、手本の大切さを示すものです。

何事も、相手が知らないことであれば尚更のこと。まずは手順ややり方を丁寧にやって見せるということです。

ある調査では、東大生を持つ親のうち7割強は、親となっても資格取得や習い事などをして常に何かを学び続けていたそうです。

 





 

その姿をお手本として見ていれば、学ぶことの意義を感じるのは自然だと思います。

ですから、リーダーとしての見本とは何なのかを示す必要がある訳です。

 

ここで、注意しなければならないのは、決して自分の価値観を押し付けてはだめだということです。

例えば、昔ながらの猛烈社員のような姿を見せても、現代の時代背景や生活環境にそぐわないので抵抗されがちになるでしょう。

「俺たちの若い頃はな…」 これで、老害(迷惑な老人)だと揶揄されます。

押し付けるのではなく、具体的に行動で示す方が効果的です。

 

一昔前の、社長が朝一番に出社してトイレ掃除をしていたというのがありますが、それもいささか使い古されているかもしれません。

「なんか、めんどくさい人だな…」

「きったねぇ。俺には無理!」

こんな心情も、普通の現代っ子気質です。

 

それよりも、「人の話をきちんと聞くこと」の手本であればどうでしょうか。

「君の意見を聞かせてほしい」

「君の考えを参考にさせてもらいたい」

「若いあなたの考えにこそヒントがあると思う」



 

そして、相手の話に真摯に耳を傾けます。

すると必ずと言って良いほど、新しい知識や着眼点が見つかります。

同時に、相手は自分が上司から信頼されているのだという喜びを感じます。

 

私は、問題や悩みを解決する仕事なので、前提としてマイナス状況の方のお話を聞くことになります。

だからといって、彼らの全てがネガティブなのではありません。

不登校児が解説する「泣きゲー」の知識に驚かされたり。

うつ社員が語る「陰謀論」にわくわくしたり。

業績不振社長が取り寄せている「スペシャル・サプリ」に感動したり。

それは、驚くほど新鮮な体験であり、彼らの才能がほとばしっているのです。

 

第2に、「言って聞かせよ」

これも誤解がつきものです。

「いいか。よく聞いておけよ」

「説明するからメモしといて」

これも、非効率です。

何事も、相手の心理に沿っていなければ、暖簾に腕押しとなります。

言われた側にとっては、「させられている」に過ぎません。

ですから、何を言うのかが肝心です。

 

それが、相手が関心を向ける事であればどうでしょう。

「これを簡単に達成する方法があるんだけど、特別あなただけに教えよう」

「それを身に付けるには、ちょっとしたコツがあるんだけど、知りたくない?」



 

こういった相手にとってメリットになるような文脈であれば、関心を示し、聞き耳を立てるはずです。

どのような情報を相手は望んでいるのか?

それに上手くマッチしていれば、誰だって必ず知りたくなるのです。

 

第3に、「させてみよ」

これはそのままですが、何事もヒントやコツの伝授をしておくことで成果が出やすいはずです。

失敗は失敗として、その数だけ良い経験が積み重ねられます。

むしろ、ビギナーズラックによる勘違いの方が修正に手間取るものです。

初心者が精一杯努力して結果を出そうと頑張っている姿には感動すら覚えますが、そこですぐに手を貸したり助言したりしてしまうと、相手に「結局自分の力では何もできなかった」という落胆を感じさせることになります。

その危なっかしさやぎこちなさこそ、こちらの指導力の未熟さを示すものであり、彼らの成長と共に、教える側も成長させてもらっているのです。

 

第4に、「ほめよ」

短期療法のミルウォーキー派の創立者の一人、インスー・キム・バーグに、こんな逸話があります。



 

面接中、彼女は相談者が何かを話すたびに、それら一つ一つに丁寧に感心して見せます。

「それは立派なことですね」

「あなたらしい、とても良い選択ですね」

すると、来談者は時折抵抗することもあります。

「そんなことありません」

「それは違います。失敗でした」

そんなやり取りが何度か続きますが、それでも変わらず、バーグ先生は相手を肯定し続けるのです。

「そこに、意志の強さが表れていますね」

「失敗を乗り越えたからこそ、今があるんですね」

 

褒められることに嫌悪感があるという人でさえ、粘り強いバーグ先生の前では音を上げてしまうでしょう。

とかく、人は誰かに肯定されることに飢えています。

やがて、相手もその一貫した姿勢に飲み込まれていくのです。

 

それはまるで、寄せては返す波のように泰然として揺るぎないものだったと伝えられています。

彼女は、突出した表現力や語彙と共に、心から人を尊重することに長けていたのでしょう。

 

褒める工夫

付け加えると、どこをどのように褒めるかは工夫が必要です。

背が高い女性に、「モデルのように奇麗なスタイルですね」というのはいささか配慮に欠けています。

背が高いという事は、もしかするとコンプレックスにもなり得るからです。

このように、目に見えることや分かりやすい長所ではなく、多少の意外性やパラドキシカル(逆説的)な視点が求められます。

では、背が高い女性に対して、どのような言葉が適切なのか?

これは、相手が何を大切にしていて、どんな言葉で何を話すのかなど、詳細で緻密な観察によって見極めなければなりません。

 

経営の神様こと松下幸之助氏の、こんな例があります。

ある日、清掃の女性がノックして社長室に入ってきました。

そして、ゴミ箱にたまったゴミを手際よく黙々と集め、邪魔にならないように拭き掃除をしていきます。

それを見ていた松下氏は、ふとその仕事ぶりに感心して言います。

「あんた。立派な仕事をしとるなぁ」

当時、社会的地位が低いという認識だった掃除婦は、それまで声を掛けられることもなく、まして、大企業の社長さんから仕事ぶりを褒めてもらえるなど思いもよらないことだったでしょう。

それ以降、彼女は自分の仕事を誇らしいものだと感じるようになったのです。



 

たった一言で、この世の中に決してつまらない仕事などない。どんな仕事でも誰かの役に立つ立派なものなのだということを伝えたという、まさしく松下氏ならではのエピソードだと思います。

 

さて、山本長官の格言には、実は続きがあります。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。

やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
 

……どうやら、道は遥かなようです。

 

 

 
>短期改善こそ、真のホスピタリティ

短期改善こそ、真のホスピタリティ

悩んだ時間は決して無駄にはなりません。
是非、一歩を踏み出してみてください。
最善を尽くしてご支援します。

空き時間枠に、今すぐご予約いただけます。

CTR IMG